家庭法座 No.298 号
われ一人 よかれと思う 蜘蛛の糸
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
芥川龍之介の短編小説でも知られる「蜘蛛の糸」という有名なお話しがあります。
あらすじは次のようになります。
お釈迦さまはある時、極楽の蓮池を通して下の地獄を覗き見た。
罪人どもが苦しんでいる中に「カンダタ(犍陀多)」という男を見つけた。
カンダタは悪党であったが、一度だけ善行を成し、それは小さな蜘蛛を踏み殺しかけて止め、命を助けたのだ。
それを思い出したお釈迦さまは、彼を極楽へ導こうと、一本の蜘蛛の糸をカンダタめがけて下ろした。
極楽からの蜘蛛の糸を見たカンダタは「この糸を登れば助かる」と考える。
そこで蜘蛛の糸につかまって登り始めた。
ところが、ふと下を見下ろすと、地獄の罪人達が自分の下から続いてくる。
こんなに登ってきたら、糸が切れてしまう。何とか自分だけは助かりたい。
そう思ったカンダタは、「この蜘蛛の糸は俺のものだ、下りろ」と喚いた。
すると蜘蛛の糸がカンダタの所から切れ、彼は再び地獄に堕ちてしまった。
それを見ていたお釈迦さまは悲しそうな顔をして蓮池から立ち去った。
昔は教科書にも掲載され、「道徳的教育の一環」として扱われていたように思います。
このお話しの本質は、「たとえそうしたくなくても、そうせざるを得ない自分がいる」ということに気づくことが大切なのではないかと思います。
結局、自分はおろか、誰も救えやしないのです。
そうであるのに、「私だけは違う」と、みんな「そのことに気付かないふり」をしている。結局、カンダタと変わりはしないのです。
近ごろ、自分の事しか考えない人が、以前にも増して増えているようです。
自分の為しか考えない人は、他の人から好かれる筈がありません。
結局は自分の損です。
仏さまは、このような人を哀み、「広い心を持って欲しい」と願っておられます。
∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽∽
今月の行事案内
・お勤め練習 3月11日(水曜日)夜7時より
・彼岸会法座 3月20日(金曜日)午前&午後
どなたでもお参りください。
コメント