一日一笑
昔から「病いは気から」とか「笑いは身体の薬」などと言われます。
最近は、「笑いが科学的に健康を維持」したり、「笑いが病気を克服する力」があるようにも言われます。
今、この「笑いの科学的効果」が研究されつつあり、「笑いの医学的効果」を研究する学会もできたようですよ。
愉快な小咄を聞く直前と、その小咄を聞いた数時間後の患者さんの検査データを比較すると、病理学的に良い成績が出ているそうです。
他にもいろいろ「笑いの効果」は有って、取り立てて効果を立証せずとも、笑っているときにリラックスしていい顔をしているのは、誰にでも言えることです。
そして、高齢も、死も、ユーモアを入れた会話なら、重たくならず、返って素直に捉えることもできそうですね。
福井県おおい町の名田庄診療所所長の中村伸一先生は、山間地で医療に取り組む医師です。
この名田庄地区で、たったひとりの医師として住民たちを支え、「島のドクター」ならぬ「陸の孤島のドクター」なのです。
先日、「赤ひげ先生」とも慕われる「中村伸一先生」のコラムを読みました。
コラムの中に中村先生は、故郷でもない山村で、18年もの長期にわたって診療をされている理由を、「患者さんを治療しながら、逆に自分が癒されているからだ」と書いておられます。
きっと、施したり、施されたり、「お互いさまの関係」があるからこそ長続きしているのですよね。
中村先生のコラムの中に、ご高齢の方や、山村で生活している方は、相当なユーモアの持ち主で、それが「生活の知恵」でもあり「長生きの秘訣」とも思える内容がありましたのでご紹介します。
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あるおばあちゃんとの「診察会話」より
ばあさま:自分が、まさかこんなに
長生きをするとは思わんかった
先生! わたしゃー、いつまで生きるんですやろ?
中村先生:ウ~ン、多分、死ぬまで生きるんでしょうね
ばあさま:そりゃあ、間違いない! それでも
早くお迎えが来んかなと、いつも願っとります
中村先生:それなら「二週間後にお迎えがきますよ!」って
言われたら、どう感じますか?
ばあさま:そりゃあ、困りますわー
だって、まだ、死にとうないですから
中村先生:アレレ、さっき言ったことと違いますね
なんだかんだ言いながら
ホントは、長生きしたいんでしょう?
すでに長生きしていますけど
ばあさま:でも先生、長生きも、こんなに腰が
曲がってしもうたら、もうあきませんわ
中村先生:腰はともかく、根性は曲がっていませんか?
ばあさま:アッハッハッー
根性は、若い時から曲がっとるから
今更どうってことないですわ
中村先生:別に威張ることないですわ
ばあさま:でも、物忘れが激しゅうなって
ほんの少し前のことも、すぐに
忘れてしもうて、あきませんわー
中村先生:もしかして、死ぬことも忘れていませんか?
ばあさま:アッ! そういえば90年ほど
死ぬのを忘れとった! アッハッハッー
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ばあさまのパワー、恐るべし!です。
会話から生まれる笑いの端々に「心の豊かさ」、「たくましさ」、「かわいさ」、「いとおしさ」そして「生きることの厳しさ」、「辛さ」などを感じるのは、私だけでしょうか。
そのまんま、そのまんま、ばあさまも、中村先生も、お救いのど真ん中にいらっしゃいいました。
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