約束の場所
2007年(平成19年)の秋に創刊された『安穏-京都からのメッセージ-』という浄土真宗本願寺派の機関紙があります。
その第8号の第1面に、詩人の高階杞一さんの「約束の場所」という詩が掲載されていました。
この「約束の場所」という詩は、忘れかけてもいた我が子の誕生の瞬間の感動を思い起こさせてくれる内容でしたので、ご紹介します。
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約束の場所 高階 杞一(たかしな きいち)
遠くから
小さなものが歩いてきます
はじめ
黒い点のようだったのが
近づくにつれ
大きくなって
やがて
顔もわかるようになり
そうして
長い時をへて
やっとここに着きました
何も言えずに 見つめていると
その子は
とてもきれいな笑顔で
言いました
ここで よかった
と
立ちつくす その小さな体を
抱きしめて
わたしも
その子に言いました
ずっとここで
君を 待っていたんだよ
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今月の16日、二人目の孫が誕生しました。
今か今かと待っていた側と、何も知らず、待たれていたとも知らず、平然と母親の腕に抱かれてスヤスヤと眠っています。
そんな赤子を見ていると、まるで仏さまの腕に抱かれていながら、知らずに日々暮らしている凡夫(わたし)のようです。
長い長い間、わたしがお浄土へ来るのを待っていてくれている沢山の方々に「お帰り」と言ってもらえるまでは、自分の与えられた場所で、精一杯生き抜かさせいていただきましょう!
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