帰るべきところ
4日、帰省していた子供たちが、
それぞれの生活の場へと帰って行った。
帰れるところ、そして、待っていてくれる人が居て、
はじめて人は、安心してその場へ、帰れるのだろう。
しかし、「お正月がめでたい」と感じられる人ばかりではない。
むしろ、辛くて、辛くて、しかたがない人だって、時にはいる。
2日、14年ぶりに、故郷へ帰りたくて、帰りたくて、
それは帰りたくてしかたがないのに、事情があって
帰れなかったO君が、やっと勝山まで帰ってきてくれた。
実家が目と鼻の先だというのに、実家に顔を出せないもどかしさ。
懐かしさと、後悔の念で、一杯のO君。
よく、幼いときからウチのお寺に出入りしていたので、
実家ではなく、ウチを訪ねてきてくれた。
O君は、ウチの家族に混じって、鍋をつっついて食べてくれた。
ほーんと嬉しそうに、「鍋なんかー、何年ぶりかなぁ」と言ってた。
ビールも飲んで、ほろ酔い気分のO君。
だが、「いつまでも故郷にいてはいけない」と気になる様子。
しかし、後ろ髪ひかれ、「もう少しでも、
実家の近くにいたい」という気持ちで、一杯なのだろう。
そんなO君に、一夜の宿を提供した。
暖房を入れて暖かくしたのに、「一睡もできなかった」と言うO君。
翌朝、何かに突き動かされるように、故郷を離れていった。
そして、電話口から「一人前にならな、帰れんわ」と寂しそうな声。
我が故郷、お浄土は、
えらくならなくても、お土産1つも必要なし。
有り難いことです。
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