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2011年3月

2011年3月 6日 (日)

二匹のねずみ

2月26日、27日の両日、春を呼ぶ「勝山左義長まつり」が、好天にも恵まれ、極めて盛況のうちに終わりました。

新聞報道によると2日間で約12万人もの観光客が訪れたそうです。

勝山では、2月に入ってからまとまった雪も降らず、年末からの大雪が嘘のように穏やかな天候が続きました。

おかしなもので、3月に入った途端、朝起きてみると5センチほどの積雪があり、見慣れた雪のはずなのに、返って新鮮に感じたほどです。

この時期に降った雪は、まず積もることもなく、昼間の太陽の日差しですぐに溶けてしまいます。

3月に降る雪は、まるで「別れを惜しむ」かのように降ります。

今ならそんな雪景色を楽しめますが、大寒の頃に「ボタボタ」と音がするように降る雪は、情緒とかを感じている暇はありません。

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3月1日、2日の朝の降雪

気持ちは「すっかり春の気分」ですが、春の陽気に大雪の記憶がおぼろになり、また「冬が来て大慌て」ということになりがちです。

忘れてはならぬ「大雪の教訓」です。今年の体験、葛藤を踏まえ、「次回への備え」としたいものですね。

私、このことって、人生とよく似ている‥‥と思うのです。

そんな今の私の心に、「譬喩経(ひゆきょう)」の「黒白二鼠(こくびゃくにそ)の喩(たと)え話」が浮かびました。

その喩え話は、次のような内容です。

 旅人が荒野を歩いていて、突然猛獣に襲われました。

 慌てて逃げ出し、ちょうどあった空井戸に駆け寄り、
 たれている一本の藤づるで、井戸の下に降りていきました。

 やがて猛獣が追いつき、井戸を覗いて吠えかかりますが
 降りることができません。

 旅人はホッと一安心し、底を見ると
 毒を持った恐ろしい龍が大きな口を開けています。

 途中で降りるのを止め、まわりの淵に足をかけようとしましたが
 そこにも毒蛇がいて、今にも襲いかかろうとしています。

 旅人は、ますます恐れおののき、今はもうこの藤づるだけが
 自分の命の綱だと必死にしがみつきます。

 ところが、今度は井戸の口のところに黒と白の
 ねずみが出てきて、代わる代わる藤づるの根をかじり始めます。

 旅人は、「これは大変」と、しきりに藤づるを揺さぶりました。

 すると、たまたま根元にあった蜂の巣から
 数滴の蜂蜜がこぼれ落ち、偶然にも旅人の口の中に入ります。

 それは、なんとも言えないおいしさでした。

 旅人は、目の前に迫りくる現実を忘れ、ただ落ちてくる蜂蜜を
 もっとたくさん口に入れようと、しきりにもがき始めました。

今の私は、この喩え話に出てくる旅人のどの段階にいるのだろうか?

しっかりと現実を見極めているだろうか?

この春の陽気に、ふと考えてしまう‥‥。 coldsweats01

2011年3月 5日 (土)

敬念寺様のご法縁

信濃路最後のご法縁は、岡谷市にある敬念寺さまです。敬念寺さまは、諏訪湖近くの近代的な寺院です。

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ご住職は教化活動を活発にされておられ、岡谷市では他宗派が多い中で「唯一の浄土真宗本願寺派寺院」として頑張っておられます。

数年前より本堂、門徒会館、庫裏等を新築され、なお一層の門徒教化にも取り組まれています。

特に、毎日の常朝事を始め、定例法座、彼岸会、お盆、報恩講、各種行事など、御法(みのり)を伝える活動に注力されています。

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敬念寺さまの夜の法座にも、たくさんの参詣があり、「ひとえに日頃のご住職の教化の姿勢によるものであろう」と拝察いたしました。

法座の終了後には、ご門徒の方々で結成された合唱団「コールガンダー」の歌の練習会があり、見学させていただきました。

近日中に老人施設を訪問され、仏教讃歌等を披露されるそうです。お寺だけでなく地域の人々との交流にも熱心に取り組まれているようです。

夜のひととき、美しい歌声を聞かせていただきました。

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敬念寺さまのご講師部屋には、お裏方さまとご一緒に写った山下幸治ご夫妻のお写真が飾ってありました。

ご夫妻は、毎年ご本山へ岡谷の生糸を献上され、昨年11月の献上で22回目になるそうです。

山下ご夫妻がご本山へ献上された生糸は、御影堂の「御真影さま(親鸞聖人のお木像)のお念珠の絹房」となっています。

有り難いことに、山下ご夫妻がご本山へ献上された生糸の一部を、敬念寺さまにも納められ、それを拝見させていただきました。

暖かいご講師部屋で、ご住職の教化の姿勢や、ご参詣のお同行の姿、合唱団の美しい歌声、篤信な山下ご夫妻など、その感動の余韻に浸り、一晩ゆっくり休ませていただきました。

お朝事にも、早朝よりたくさんのご参詣があり、お勤めの後、一席お取り次ぎをさせていただきました。

ご住職さま、坊守さま、若院さま、若坊守さま、ご門徒の皆さま、大変お世話になりました。有り難うございました。

  • 本日より文字サイズを大きくいたします。
    感想などありましたら、どうぞ気軽にコメントしてください。

2011年3月 4日 (金)

極楽寺さまご法縁

昨日に引き続き、「信州長野のご法縁」を報告させていただきます。

このたびご縁をいただいた極楽寺さまは、JR松本駅の近くにあり、幼稚園も併設し、真宗保育にも力を入れておられるお寺です。

昼食後、午後の法座の開始前に、ご住職から次のようなご案内がありました。

  本日の法座は、新年会を兼ねての法話会ですので、
  法話の後、落語が一席あり、落語の終了後に宴会をします

布教を終えた私は、「どんな噺家さんが登場するのかな?」と本堂で待っていますと、出囃子に乗って登場したのは、なーんと衣装を着替えたご住職です。

参詣の皆さんの「ヨッ!待ってました」との掛け声と、大きな拍手で高座に上がったご住職の姿は、「ピシッと決まったプロの落語家」そのものです。

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ご住職は、昨年より1年間、毎月2回、上方落語の聖地、大阪の繁盛亭へ通い、師匠に付いて落語を学ばれたそうです。

晴れて師匠より「八軒家 五九楽」との高座名をいただき、昨年よりお寺の報恩講や幼稚園の行事などで落語を披露されているそうです。

  写真の立派な高座は、ご住職が檜を購入し、
  友人の建具屋さんに作ってもらったそうです。

イヤ~~高座の近くで拝見し、そのプロ顔負けの見事な話術に驚き、「私のお取り次ぎが前座でよかった」と思ったほどです。

ご住職の落語の後では、やっぱり分が悪すぎます。

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そんなご住職の落語で大笑いした後は、門徒会館にて新年会が開催されました。

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新年会は、ご住職と門徒総代のご挨拶に続き、乾杯の音頭と共に宴会が始まり、婦人会の皆さまとも、楽しく飲み、語り合いました。

ご住職さま、坊守さま、ご門徒の皆さま、本当にお世話になりました。そして、ご馳走さまでした。 すしかったです。

2011年3月 3日 (木)

松本城観光

本日も、2月に寄せていただいた「信州長野県の法耕足跡のご縁」を報告させていただきます。

安養寺さまにての院外布教後、同じく松本市内の極楽寺さまへの移動の際、松本城に立ち寄り観光をして来ました。

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松本市の観光名所で有名なのは、やっぱり国宝の「松本城」ですね。

この「松本城」は、もともと「深志城(ふかしじょう)」といい、その黒漆塗りの美しい天守閣から「烏城(からすじょう)」との別名も持っています。

そして、日本国内に12基現存している安土桃山時代後期から江戸時代にかけて建造された「天守を有する城のひとつ」としても知られます。

松本城に到着したのはお昼近くでしたが、天候にも恵まれ、多くの観光客で賑わっていました。

きれいな雪化粧の山々を背景に、松本城が大きくそびえ立っています。

この季節の松本城は、漆黒の天守閣と、白く雪を抱いた北アルプスの山々とが、この時期ならではコントラストを見せ、それはもう見事な景観です。

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そんな松本城の見学を済ませ、極楽寺さまへ向かう道中に一風変わった「オブジェ」が目に留まりました。

その「オブジェ」は、とても大きく、観光客の目を奪う、凄い迫力の「3匹のガマガエル」です。

この「オブジェ」には「がまざむらい像(東京芸術大学の寄贈品)」とあり、茶色のガマガエルの背中に乗った2匹の白いガマガエルが見栄を切っています。

私には、この「オブジェ」が一体何を表すのか分かりません。「芸術の世界」というものは、常人の目にはなかなか受け取りにくいものがあります。

その点、誰でもが受け取り易く、称え易い『お念仏』をいただけるのは有り難いことです。

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しかし、その『お念仏』のみ教えを、誰でもが聞き易く説法することは、難しいことです。どこまでも布教使としてお育てを受けるばかりでありました。

さて、尊いお育てに預かるご縁です。そろそろ極楽寺さまに向かいますかな。

2011年3月 2日 (水)

三溝の安養寺さま 

遅くなりましたが、2月の中旬に寄せていただいた「信州長野県の法耕足跡のご縁」を報告させていただきます。

長野別院の院外布教に松本市波田の「安養寺さま」にご縁をいただきました。

安養寺さまには、ずいぶん以前よりお世話になっていますが、年々本堂や庫裏、門徒会館が立派になっています。

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大変なことと思いますが、寺族、門徒の皆さま方のご尽力には頭が下がります。

もちろん建物だけでなく、教化活動も熱心に展開され、法座の際には数人の方がメモを取りながらお聴聞されておられました。

ここ安養寺さまでも、午後と夜の法座の後には、門徒会館にて茶話会をされます。

茶話会では、ご門徒の方々が作られたお料理を頂戴しますが、安養寺さまでは、リンゴ農家の方々が創作された様々な「リンゴ尽くしの料理」を頂戴しました。

北陸の越前ではお目にかかれない、口にすることの出来ない逸品を沢山いただき、忘れられない想い出となりました。

また、こちらの安養寺さまは「しだれ桜の名勝」としても知られ、季節には多くの観客が来られるそうです。

そんな安養寺さまの境内には、20数本の桜があり、そのうち本堂正面にある2本は、樹齢三百年~五百年で、町の天然記念物にも指定されています。

毎年4月上旬には、桜の開花に合わせて「親鸞聖人の降誕会法要」をお勤めになられるそうです。

なかなか機会がありませんが、ぜひ一度、安養寺さまへお聴聞がてら、しだれ桜の優雅な美しい姿も味わいたいものです。

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この度のご法縁は、ご住職さま始め、坊守さま、若院さま、ご門徒の皆さまには大変お世話になり、本当に有り難うございました。

2011年3月 1日 (火)

家庭法座 No.250 号

暖かき 陽光の寺庭に み法咲く

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厳しい冬が去って、暖かい春がやって来ました。

しかし、国内外は政治の混迷とデモや内戦が起こっています。

また、ニュージーランド南島の大地震は
悲惨な状況で、心の痛む事が多数報道されました。

親鸞聖人は「煩悩具足の凡夫、火宅無常の世界は、よろづのこと、
みなもつてそらごとたはごと、まことあることなきに、ただ念仏のみぞ
まことにておはします(「註釈版浄土真宗聖典」853頁)」と仰いました。

これは「我々は、あらゆる煩悩を抱えた凡夫であり
この世界は、火事で燃えている家のように、常では無く
たちまちに移り変わる世界であるので、すべては虚しく、偽りで
『真実』と言えるものなど何ひとつも無く、その中で、ただひとつ
念仏だけが『真実』なのであります」と仰っておられるのです。

変わりある世界で、変わらない『真実の教え』を聞くことが大切であります。

春彼岸には、ぜひお寺へ仏法聴聞してください。

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No250

  今月の行事 3月20日(日曜日)午前・午後 常例法座
        どなたでもお参りください。